2013年3月8日金曜日

稲刈り後の風物詩

籾殻を燻してつくる「籾殻燻炭(もみがらくんたん)」。

ドラム缶を使った作り方が一般的なのかと思っていたが、厚木市の農家の野路稔さんが祖母に教わって昔から行っているという作り方は興味深い。

まず、土を約2メートル四方にほうきで掃いて、相撲の土俵のように地面を平らにする。
中心に置いた種火の上に、トタンを巻いてつくった煙突を乗せ、周りに籾殻を円錐状にかけていく。


焦げてきてしまったところに籾殻を足していく。

燃えすぎると白く灰になってしまうので、燃え方の様子を見ながら籾殻を足していく。
できた籾殻燻炭から少しずつほうきで外側にはき出して集めていく。


籾殻をほうきで掃き集め、円錐状に丁寧に寄せていく。

午前11時ごろに着火。風の状態などによって違うが、だいたいは半日ほどで完成。
できた籾殻燻炭は、育苗土や畑に使う。排水性や保水性に優れているという。

「子どものころは稲刈りが終わってから11月ごろに、この辺りでよく見られた。特有の匂いがして、煙がたなびいていた」と野路さん。昔は6ヘクタール、いまは4ヘクタールの水田でコメをつくっている。

籾殻燻炭によって、空と地上の間に煙がたなびくことで、上空にふたがしてある状態に。
あたたかい空気が上空に逃げずに地上にとどまる。これが、放射冷却で畑に霜が降りることを防ぐ働きもあった。そして、強く焼くとアルカリ性、半焼けだと酸性に近くなるという。

昔ながらの知恵って本当にすごい。

こういった一つ一つの農家仕事は、農産物だけでなく、風景をもつくっている。



(柏木智帆)

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