種苗交換会で寄付されたタネと自前のタネの計約100種。無料で貸し出し、翌年に2倍にして返してもらう仕組みだ。品種はまだまだ増える見込みという。
シャンティクティ経営の臼井健二さんと朋子さんが「種センター」を始めたのは、今年1、2月にバングラデシュでみた無農薬・有機栽培などをすすめる「ノヤクリシー」という新しい農業のムーブメントを目にしたことがきっかけ。
「穂高いんげん」「くらかけ豆」といった信州のタネから、 「むくろじ」「緑綿」など変わり〝ダネ〟まで。 |
バングラデシュでは、緑の革命によって収量はあがったものの、土地はやせ、病気は増え、生態系が壊れた。こうした状況を変えていこうというノヤクリシーの一環で、地域に「種センター」をつくり、コメ、野菜、豆のタネを管理して貸し出し、倍にして返してもらっているという。
朋子さんにうかがった現地農民の話が素敵だ。
「今までは農薬を買いに町へ行ったついでにお金を使ってかえってきて奥さんとけんかしたりしたけど、今はタネは奥さんが管理していて、植える時期をきいたり、一緒に仕事をすることがあるからコミュニケーションがとれて仲良くなった」
毎年タネまきのたびにお金を出してタネを買うのではなく、お金をかけずにタネとりや管理に手間をかけたりタネを交換したりするなかで、家族や地域とのコミュニケーションも深まる。タネを地域で自給することで、農民たちの自立にもつながる。
バングラデシュでは住民の9割が農民だというが、日本では多くの人たちが企業勤め。
そんな現状の日本でも、同じようにタネの貸し借りが浸透するかどうか。
期待をもって注目していきたい。
(柏木智帆)
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