2013年3月8日金曜日

給料の一部をコメで支払う

埼玉県小川町の下里地区で、有機農業を営む霜里農場の金子美登さんと、食とエネルギーの地産地消を柱に活動しているNPO生活工房つばさ・游の理事長、高橋優子さんの講演を聞いた。

行く前から楽しみにしていた話の1つが、自然派リフォーム会社「OKUTA」の「こめまめプロジェクト」。

このプロジェクトは、OKUTAが金子さんら下里地区の有機農家のコメを買い支え、希望社員の給料の一部をコメで支払っている。
生活工房つばさ・游が、OKUTAと有機農家をつなぐコーディネーター役だ。

全量買い取り、一括即金支払い、農家が元気になる価格が、提携の三原則。
1キロ400円で、送料、袋代、精米代込みで5キロ2600円。
希望社員には毎月17日になるとコメが届く。


刈り取り前日だった下里地区のコシヒカリ。
穂が長い長い。


東日本大震災が起きた直後、コメを備蓄しておこうとする人たちが続出して、あらゆる店でコメが売り切れた。だが、希望社員には、いつも通り、震災6日後の17日はコメが届いたという。

「社員の食と職を守るのが社長の役目」
講演で紹介されたOKUTAの山本拓己社長の言葉が印象的だった。

2009年のスタート時は参加農家4人で希望社員約30人。
いまでは参加農家は6人で希望社員は約70人に増えた。
社員たちは、下里地区での農業体験や有機農家との交流会などにも参加して、自分たちが食べているコメがつくられている現場にも足を運ぶ。


お金をじっと見つめていると、ただの紙切れだなあと思う。お金の価値というのは、共同幻想と言われれば、そうかもしれない。

お金でなくコメが給料の一部として支払われるプロジェクトは、全国的にもめずらしい。
でも、命を支える主食という意味でとても本質的。

この取り組み、なぜもっと他の企業に広がらないのだろう。


(柏木智帆)

0 件のコメント:

コメントを投稿