2013年3月8日金曜日

野菜の食べ方探る農家


横須賀市の「Yavas農園」では、種苗会社が人工交配したタネではない〝本来のタネ〟だけを無農薬・無化学肥料で栽培している。

そのタネは「固定種」や「在来種」と呼ばれている。野菜を栽培してタネをとり、そのタネを翌年にまいて栽培すると同質の系統が引き継がれる、いわば命がつながれていく品種だ。

農園主は28歳の鈴木直広さん。

1反5畝超の谷戸畑で、ことしの春のタネまきから始めたばかりだ。


表が緑色、裏が赤色の「裏紅シソ」。
「片面だけに衣をつけて揚げると2色の天ぷらになる」と鈴木さん。


9月からは地元の酒店で販売し始めたが、8月まで、とれた夏野菜は一切販売していなかった。


「とにかく自分でずっと食べまくっていた。どの品種がおいしいか、どう食べたらおいしいかを追求して、トコトン食べた」

鈴木さんは、計5年ほど飲食店で調理の仕事をしてきたという経歴もあり、赤字覚悟でいろいろな調理法を試してきた。

たとえばオクラ。

「丸オクラとバーガンディー(赤オクラ)は洗ってキンキンに冷やして生のまま。丸オクラは麹味噌、バーガンディーは麹味噌とマヨネーズを混ぜたものにつけて食べるとおいしい」

「スターオブデイビット(太くて角が多いオクラ)は焼くと味を吸収するので、肉と炒めたり、エビと炒めたりすると旨みを吸収する。一緒に炒める材料によって変化が楽しめる」

ちなみに鈴木さんは、オクラをゴマ油で焼いて塩胡椒で味付けするのが好きらしい。


「スターオブデイビット」というオクラ。
タネとり用に収穫しないでおいたものは全長20センチほどに成長。

鈴木さんが生産した野菜の食べ方について、鈴木さん以上に詳しい人はいない。
「いつか自分がつくった野菜を自分が調理する飲食店を開きたい」という。


説明を聞いていると、つくってみよう、買ってみようという気持ちになるし、自ら生産した野菜への鈴木さんの愛着を感じる。
それは「鈴木さんの野菜」への信頼感につながる。
有機JAS認証よりも、こうした〝顔認証〟のほうが信頼できるように思う。



10月からは東京・青山の国連大学前で土日曜日に開かれている「青山ファーマーズマーケット」に出店。

ブースに行けば、きっと鈴木さんが食べ方をレクチャーしてくれる。




(柏木智帆)

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